繰り上げ返済ってなに?
A.借入時に決められた月々の返済額とは別に返済を行うことです
住宅ローンの返済は毎月の支払いやボーナス時に決まった金額を支払うのが一般的ですが、任意で借入元金の一部を支払う「繰り上げ返済」という方法もあります。「繰り上げ返済」について詳しく見ていきましょう。
繰り上げ返済の種類
繰り上げ返済の方法には2種類の方法があります。それぞれの方法によって、利息の削減の効果が異なる一方で、今後の返済計画も大きく変わりますので、自分自身のライフスタイルにあった方法を選びましょう。
まず、一つ目は、月々の返済額は同じ額のまま、残りの返済期間を短くすることによって利息の支払い額を抑える「期間短縮型」があります。 そして二つ目が、残りの返済期間は同じ期間のまま、月々の返済金額を少なくすることで利息の支払額を抑える「返済額軽減型」の2種類があります。どちらの場合でも、当初住宅ローンを契約していた際に予定されていた支払利息よりは金利負担を減らすことができます。
それでは具体的に「期間短縮型」と「返済額軽減型」のそれぞれの繰り上げ返済の方法を解説し、どちらの方がより多くの利息の支払い額を減らすことができるのかや、それぞれの繰り上げ返済の方法のメリット・デメリットを解説していきます。
月々の返済額がラクになる「返済額軽減型」
返済額軽減型は、繰り上げ返済をした金額を毎月の返済額に充当する方法になります。つまり、毎月の返済額が少しずつ安くなるようになるため、利息の減少額も少なくなるのです。
例えば、住宅ローンの金額が1,000万円で10年のローンがあった場合、100万円の繰り上げ返済を返済額軽減型で行ったとします。その場合1年目の返済額から10年目の返済額までが毎月均等に安くなるのです。そのため、実質的に「前倒し」で返済できている期間や金額としてはあまり多くはありません。
返済額軽減型のメリットとしては、やはり月々の返済が楽になるという事で生活面が楽になるのが最大のメリットです。特に住宅ローンの返済は毎月固定の金額になるため、その返済額を少しでも低くすることができれば生活面でも余裕が出てきます。また、繰り上げ返済を行ったばかりの場合は貯金を取り崩しているケースもあるため、生活に余裕がないケースが多くなっています。
そのようなことを踏まえると、返済額軽減型は月々の返済額をラクにしてくれながら、住宅ローンの利息の総支払額も軽減される、バランスの良い繰り上げ返済の方法といえます。
大きく返済額を減らせる「期間短縮型」
次に月々の返済額は変えずに期間を短縮する期間短縮型について解説をします。期間短縮型については繰り上げ返済分を残りの借入期間から短くする方法です。
例えば、住宅ローンの金額が1000万円で10年だと仮定した場合、繰り上げ返済で100万円を「期間短縮型」で返済した場合には、毎月の返済額は変わらい代わりに約1年ほど返済期間が短くなります。
つまり、この「期間短縮型」の場合は繰り上げ返済を行った100万円の金額の約10年分の金利を丸ごと支払う必要がなくなるのです。その結果、小分けで毎月少しずつ安くする「返済額軽減型」と比べると利息の支払い額を大きく減らせるため、期間短縮型の方が有利になるのです。
次に期間短縮型のメリット・デメリットについて解説します。期間短縮型のメリットについては何といっても金利の削減効果が大きいことです。大きく利息の支払い額を減らすことができるため非常に有利に住宅ローンの返済を進めることができます。一方で期間短縮型のデメリットとしては、月々の返済額は変わらないことから繰り上げ返済をしているにもかかわらず生活面での余裕はあまり生まれてきません。むしろ、住宅ローンの繰り上げ返済をする際に貯金を取り崩すことがあるため、期間短縮型で返済をすると一気に家計に余裕がなくなってしまうデメリットがあります。
住宅ローン減税と住宅ローン繰り上げ返済のタイミングの関係
また、繰り上げ返済をするときにはここで紹介をした繰り上げ返済の方法だけではなく、繰り上げ返済のタイミングも考えましょう。というのも、繰り上げ返済を行った場合には期間短縮型や返済額軽減型のどちら場合でも「住宅ローン減税」の減税額が少なくなってしまうため、注意しましょう。
住宅ローン減税は、その年末の住宅ローンの残額が減税の基準になります。そのため住宅ローンの残高が多ければ多いほど減税額も多くなり、住宅ローンの残高が少なければ少ないほど減税額も少なくなるのです。
これらの点を踏まえて、住宅ローン減税を使うといくら減税されるのか、そして繰り上げ返済をすることでいくら金利の支払額が減るのかをシミュレーションを行って、繰り上げ返済を行うようにしましょう。
また、一般的には住宅ローン減税には10年間という期間がありますので、その10年を超えたタイミングで一気に繰り上げ返済をするのが最も有利なタイミングと言われています。ただし、人によっては住宅ローン減税の減税額をフルに使えていない人などもいるため、自身がどれだけ住宅ローン減税の恩恵を享受出来ているのかなどを確認するようにしましょう。
長い目で見て繰り上げ返済のメリットは小さくないですが、家計に支障が出ては本末転倒です。生活費や教育費などとの兼ね合いも考慮して利用するようにしましょう。