住宅を購入する時、頭金は必要?

A.頭金がどのような意味を持つのか理解しておきましょう

住宅購入を検討する人の多くが「頭金を支払うか?いくらにするか?」で悩むようです。頭金なしで購入した場合の住宅ローン返済例が載った住宅販売チラシも少なくありません。しかし、頭金なしで本当に大丈夫なのでしょうか?頭金がどのような意味を持つのか理解しておきましょう。

頭金が多いほど家計にゆとりができる

同じ金額の物件を購入するのなら、当然ですが、頭金が多いほど住宅ローンの借入金額は少なくてすみます。年収500万円の人が3,500万円の物件を購入する例で見てみると、2割の700万円を頭金として入れて残りの2,800万円を住宅ローンで借り入れた場合、年収に対する年間の返済額は約21%、1,000万円を頭金として入れて残りの2,500万円を住宅ローンで借り入れた場合では約18%です。頭金を多めに入れることで住宅ローンの返済額が抑えられれば、毎月の家計にゆとりが生まれますので、頭金は多い方が良いといえるでしょう。

頭金が貯められないまま家を買うときの注意点

頭金は多いほど良いとはいえ、頭金に充てる資金は貯まっていないけれども、できれば子どもの小学校入学前には家を買いたい、返済年数を考えて30代のうちに住宅ローンを組んでおきたいなど、それぞれの事情や希望もあるでしょう。上記のとおり、「頭金は物件価額の●%必要」という決まりはありませんから、住宅ローンの借入金額が適正であれば、頭金が少ないことに大きな問題はありません。ただし、次のような点がデメリットとして考えられます。

金利が不利になることも

例えば、住宅金融支援機構の全期間固定金利の住宅ローン【フラット35】では、物件価額の全額を借り入れできますが、融資比率が物件価額の9割を超える場合、9割以下の場合よりも金利が高くなります。また民間の住宅ローンでも自己資金(頭金)の割合で金利が異なることがあります。

将来の借り換えや売却に影響する可能性あり

頭金なしで住宅を購入すると、それだけ借入金額が大きくなり、毎月の住宅ローンの返済額がアップして、家計のやりくりが厳しくなりがちです。また、頭金が少ないと、将来物件の担保価値が住宅ローン残高を下回る可能性が大きくなります。そうすると、低い金利の住宅ローンに借り換えたい場合に、購入物件の担保価値が住宅ローン残高を下回り、審査に通らず借り換えできないことがあります。また将来売却を考えた際に、売却したくても現金を補填しないと、抵当権を設定している金融機関が承諾してくれず、売却がしにくくなるというケースも考えられます。

住宅購入後の貯蓄は重要

頭金なしで家を買う場合は、「物件予算を下げる」など住宅ローンの借入金額を抑えて、毎月の返済額をなるべく少なくし、住宅購入後も家計を引き締め、早く貯蓄を増やすことを心がけましょう。また他のライフイベントの支出との関係もありますが、頭金なしで住宅ローンを借り入れる場合は、できるだけ繰上返済を行い、早く残高を減らすことで、将来の借り換えや売却の際に起こりうるリスクに備えましょう。
頭金は多い方が良いとはいえ、頭金と手持ち資金のバランスをとることは大切です。手持ち資金をギリギリまで減らし、頭金を増やすのも一長一短です。住宅ローンの借り入れ後、突発的な支出が重なり、他から借金することになっては本末転倒です。頭金をいくらにするかをきっかけに、無理のない購入金額、無理のない借入金額、そして無理のない返済をぜひ考えてみてください。